芳賀 巧
「アホさ」をぶつけてみる!
コンサルティングをしているからといって、お客様より賢いわけではないし、すべてを解決する存在がコンサルタントではないと思う。
お客様からいろいろなことを教えていただきながら、足と体で情報を取りに行き、お客様の考える時間を代行し、お客様の役に立つことができれば、最終的にはどのような形のアウトプットであっても一定の価値を発揮することができたと言って良いと思っている。(もちろん、ただ単に接待するだけのコンサルティングではなく、だが)
僕らが持っている考え方や視点だけで、地に足のついていない理論だけをぶつけ、実現性のないことを提案することが、僕としては最も悪なコンサルティングだと思っているので、まずはお客様の会社がどんな歴史的背景から誕生していて、その中で対面となる担当者の方はどんな思いや気持ちで勤務しているのか、ということをまずはつかんでいくことからスタートするケースがほとんどだ。
そんなとき、会話を通してお客様から情報を教えていただくことになるのだが、「言っていることをすべて理解できてますよ感」を出しすぎてしまうことで、後々変な誤解や解釈を生み出してしまうケースがあるように感じる。
なぜなら、言語化できる情報なんて限られているし、関係性のできていないコンサルタントに対して、まだ信用もできていないのにすべての情報を提供するとは到底思えないからだ。
僕は元々アホなので、「分かってしまった」ということが、実はかなり恐怖だったりする。そんな簡単に僕に理解できるようなことを、お客様が依頼してきているとは思えないからだ。なのであえて、かなり偏った解釈で「こういうことですか?」とお客様に尋ねて見ることがある。
ありがたいことに、数多くの経験をさせていただいたので、この偏った解釈(質問)は9割程度やはり間違っていて、「ちがう、それはそうではなくて…」という形で、多くの場合より濃い情報をいただける。
この2回目の「言い換えて伝えてくれた情報」が、実はかなり有益な情報だったりするのだ。
ただし、やはり「アホすぎる」人にコンサルティングは依頼してもらえないので、「アホさ加減」はセーブしながら質問をしなければならないのだが、「アホ」を脱却するために必死に勉強をして、お役に立てるように頑張るという循環が生まれるので、自分を成長させることができる手法であるような気がする。
必死にお客様のためになることを考えたからといって、必ずしも良い提案やお役に立てる情報が提供できるとは限らないが、やはり僕らのような仕事をする人間が根底に持っていないといけないことは、「相手のために何かをしてあげたい」という貢献欲求のようなものだと思う。