芳賀 巧
「人」について若造が語ることの重み
人事コンサルティングの仕事(というよりも、コンサルティング全般そうかもしれないが)経験を教授するタイプのコンサルティングと理論やエビデンスをベースとするタイプのコンサルティングの2つに分かれると思っている。
当社もそうだが、代表の曽和の今までの経験やキャリアなどに興味を持っていただいた方から連絡をいただき、お仕事をいただく事がほとんどであることから、基本的には経験の教授を求める方が多いのではないかと感じている。
しかし、当社のコンサルティングは理論やエビデンス(適性検査の分析結果など)をベースとして、ご提案をする形をベースとしている。これは代表の曽和の思想でもあって、どのような組織であっても、現状をエビデンスベースで把握した上で、施策を考え、最善のご提案をする、という考え方があるためだ。そのため、当社の社員は心理学や統計学、組織論などを学ぶことが必須となっている。
ただ、データを収集し学術的な背景をベースとしてご提案をするにしても、やはり一定の「解釈」というものは存在するため、僕のような若造だけの解釈ではなく、多くの人と接してきた曽和の解釈と照らし合わせながら、最終的なご提案とするケースがほとんどだ。
そのようなコンサルティングを続けていると、なんだか人のことをわかった気がしてしまったり、組織のことをパターン分けしてみたりと、考える時間を短縮しようとする思考回路に陥りがちだが、そのような思考に至るたびに若造であることを強く意識して考える時間を確保するように心がけている。
「絶対音感」という能力をもつ人は世の中に存在しているが、「絶対人感」や「絶対組織感」を持っている人はおそらく存在していない。多くの知の巨人の方々が積み上げてきた学術などを背景にしたとしても、感情を持つ人間は変化したり進化したりする生き物だと思う。そうなってくるとやはり、「多くの人と接してきた数」や「多くの種類や規模の組織を見てきた数」という価値は大きく、おおよその場合それは生きてきた時間(と濃度)と比例すると考えている。
そのような諸先輩方に「知見」をご提供するのは本当に恐れ多いことだなと日々感じているが、上記のようなことを認識しつつ、「考える時間」をお客様に代わって創出できるかが、僕らのような会社が存在できる価値であると思う。
基本的に当社のコンサルティングは、あくまで決めることを「サポート」するコンサルティングになるので、もちろんオススメはするものの、決めてもらうのはお客様の方である。毎日自社の組織や人と接していらっしゃるお客様に対して、理論やエビデンスを背景に、いかに考え、価値を提供できるか、これからも試行錯誤しながら頑張りたい。