リファラル採用で成功する母集団形成の方法

昨今、従業員や内定者など、社内外の人的ネットワークを介した推薦・紹介から自社に適した人材を探す採用手法である“リファラル採用”が注目されています。そこで今回は、人との繋がりを最大限に活用できるというリファラル採用の特徴を活かし、採用を成功させるための母集団形成におけるポイントをお伝えしたいと思います。

1.なぜリファラル採用が必要なのか

一体なぜ近年になってリファラル採用が注目されるようになってきたのでしょうか。これには新卒採用の市場の変化が関係しています。90年代初頭、バブル経済が崩壊した後、日本経済は不況に陥り「超買い手市場」になりました。

 しかし労働人口が減りつつある現在では、学生にとっては有利な売り手市場になり、企業は優秀な人材を探すために戦略を立てて動かなければいけないような時代です。そこで採用難を乗り越えるために注目されたのがリファラル採用でした。リファラル採用にはこのようなメリットがあります。

 

  • 採用コストや必要なマンパワーを削減できる
  • 採用ブランドに関わらず知名度の低い企業でも実施できる
  • 信頼関係をそのまま社内に持ち込んでもらえるために、社内の絆が深まる
  • 長年の付き合いがあり、その人の特性をよく知っているため、応募者の評価がしやすい

 

このように採用難を乗り切るうえでも、そして組織に良い影響をもたらすという意味でもリファラル採用の効果は期待できるのではないでしょうか。

2.リファラル採用の進め方

具体的にはリファラル採用は以下のステップで行っていきます。

1.ターゲット選定

2.リファラル担当者を決める

3.実行(紹介募集→初期接触→本選考誘導→意思決定促進)

こちらの具体的な内容については、ぜひこちらをご覧ください。リファラル採用を成功させるために抑えるべきポイント集(リンク貼る)」

 

どのような採用の手法をとっても、まず第一に考えなければいけないのは、候補者の母集団をどこに設定するかということです。リファラル採用でいうのターゲット選定の部分です。しかしリファラル採用において、経験がない状態でスタートをすると、はじめの母集団形成に躓く採用担当者も多いのではないかと思います。そこで次の章からは、リファラル採用を成功に導くための母集団形成のポイントをお伝えしていきます。

 

3. 採用を成功に導く母集団形成3つのポイント

 まずはじめにリファラル採用で母集団形成をするうえでのポイントは3つに分けられます。

 

  • ソーシャルグラフを描く
  • 紹介者・被紹介者へのインセンティブを工夫する
  • 相手の都合に合わせる

3‐1.ソーシャルグラフを描く

 リファラル採用では人の繋がりを活かす採用であるため、母集団もその繋がりが起点となります。特にインフォーマルネットワークが強い内定者および新入社員(できれば入社3年目)が最適です。ただすぐに彼ら/彼女らに人を紹介してほしいという依頼をしたところで、本人も採用担当者も見通しが立っていないため動くことが困難です。そこでまずやってみるのが彼ら/彼女らが持つ「ソーシャルグラフ」を描くというものです。

 ソーシャルグラフとは、普段の雑談でどのようなアルバイト・サークル・ゼミ活動・その他学外での活動をしてきたのかを聞き、その人の背後にあるネットワークがどうなっているのかを明らかにするというものです。

 その際、自社にとって合いそうかどうかを判断するため、普段どのような活動をしているのか、どのようなタイプの人たちがいるのか、誰が中心になっているのか、何人くらい就活生がいるのかなどを聞き出しましょう。そうして、ターゲットが決まったら母集団形成のための起点になる人に候補者を紹介してもらい初期接触に繋げて行きます。

 しかし中にはそこまで外向的ではなく、積極的に紹介をすることが難しい人もいるかと思われます。そこで次に起点となる人物がいない場合の対応の仕方についてご紹介します。

 

・ソーシャルグラフの中で中心となる人物へアプローチ

 まずは起点となる人物が紹介が難しい場合、雑談の中で聞き出した所属団体の中心人物を教えてもらい早いうちに接触することが効果的です。

 例えばアルバイトならバイトリーダー、サークルなら幹部、ゼミ活動ならゼミ長など、そのコミュニティの人間関係を構築するハブのような人物です。「自社の採用試験を受けてみませんか?」と自社のことを知らない状態でいきなり話しかけるのは危険ですので、まずは「一旦話をしてみたいので食事をしながら会いませんか?」と話を持ち込むのが良いでしょう。特に何かの集団の中心となるような人物であれば、人と会うことに対して抵抗感を持ちにくいことが多いため、成功率も高いはずです。

 

・実際に大学を訪問する

 スタートアップやベンチャー企業では起点となるような内定者や新人がいないこともあるかと思います。そのような時には、実際に大学に直接足を運ぶことをおすすめします。

例えばちょっとした手土産を持って「このようなことをしている会社なのですが、お話しませんか?」と体育会系の学生に会いたければ部室に行ったり、理系学生に会いたければ研究室に行ったり、行動に移してみるのです。特に体育会系や理系の学生は活動に打ち込み、就活活動意欲が薄いのが特徴の一つですので、こちら側から訪問するのは思いの外歓迎されることもあります。接触できたら先ほどと同様に、「一回食事をしながら話してみる」というステップに移りましょう。

 

このようにソーシャルグラフを描くことは、リファラル採用の見通しを立てることが大切です。まずは起点になる人物を見つけ、そこからアプローチしていきましょう。

 

3‐2.紹介者・被紹介者へのインセンティブを工夫する

 「誰かを紹介してほしい」この一言では、紹介者にも被紹介者にもメリットを感じることができないので、紹介をしようという気持ちには至りません。

 そのため紹介者にも被紹介者にもメリットを感じられるようなインセンティブを用意することが重要です。もちろんお金を報酬として用意することが考えられますが、その他にも食事・情報・人脈を通して、「紹介したら自分にもメリットがあるかもしれない」という動機を形成を行うことがリファラル採用を加速化させる上でのポイントになります。特に新卒採用の場合では、「紹介してもらった人は一次面接免除にし二次面接からにする」というような特別感を出すことも効果的です。

 このように採用担当者、紹介者、被紹介者それぞれがメリットを感じられるような工夫を凝らすことが重要です。

 

3‐3.相手の都合に合わせる

 メールや電話で何度かやりとりをした後、次は実際に候補者に会うことになります。その際にポイントになるのは、「会う日程や場所は相手の都合に合わせる」ということです。

 なぜなら採用担当者は求人や人材紹介などの既存の採用をする時のスタンスとは異なり「会ってもらっている身」だからです。転職者の場合には、土曜日または夜、学生は土日か授業の少ない日、体育会の学生は土日に試合があることから月曜日が狙い目です。また会社に来てもらうのではなく、相手にとって近くて行きやすい場所を設定するという工夫が重要になります。

 このように母集団を形成する上で、相手の負担をできるだけ減らすことがより多くの候補者に会うことに繋がるのです。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はリファラル特徴を活かした母集団形成の方法についてご紹介しました。

 またその時のポイントとして、起点となる人物を探すこと、リファラル採用に携わる人たちに対してのインセンティブに工夫をすること、相手の負担を減らして会うことの大切をお伝えしました。

 

ぜひ、皆様の会社でもリファラル採用をする上でのご参考になれれば幸いです。

参考資料

「ネットワーク採用とは何か: 採用難時代を乗り越えるこれからのスタンダード」労務行政 曽和利光

https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E6%8E%A1%E7%94%A8%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E6%9B%BD%E5%92%8C%E5%88%A9%E5%85%89-ebook/dp/B06XRJTDPR

 

twitter facebook twitter facebook

この記事に関するキーワード

曽和利光

曽和利光

【経歴】 株式会社 人材研究所代表取締役社長。 1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。 株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。 「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。 2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。 企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

人気記事

  • 「人事は孤独である」ことの正体

  • 「人」について若造が語ることの重み

  • 僕たちの会社と仕事について

人と組織の可能性を
信じる世界を目指す
人材研究所では組織人事の問題解決を
通じて企業様の未来を応援しています。