「考える」ことを持ち込んだ方々

何度も書いていることになるし、日々そればかり行っていることもあるので、もういい加減このテーマ以外のことを書かねばならぬと思いつつ、また同じようなことを気がついたら書いてしまっている。例によって、今回も「考える」ということがテーマで文章を書いてみたいと思う。

 

 僕らの仕事は、お客様の「考える」という行為の時間を代行することで成り立っているので、決して「考える」ということからは逃れられない。「考える」ということの定義は正直かなり難しいと思っており、お客様からどれだけ「考えたのか」と評価されることと、考えることに割いた時間とが必ずしも相関しないことがなんとも悲しい。そんな悲しさから毎回このテーマで文章を書いてしまっているような気がする。

 

 それでも人間は考えないと生きられない生き物であるし、考えなくてもいいことをあれこれ考えてしまったりすることもあるが、一般的に(と言いつつ僕の主観かも知れないが)考えずともやれるであろうことに対して「考える」ということを持ち込んだ方々は、その世界でとても重宝される傾向があるなと感じる。

 

 僕は野球をやっていたので、このテーマでまず頭に浮かぶのは野村克也さんだ。プレイヤーとしてもかなり偉大な選手であったが、監督として特に偉大な功績を残された方だと僕は思っており、「ノムラの考え」と呼ばれている野球に関する戦略・戦術などをまとめたものは、多くの選手に影響を与えていると思う。

 

 野球は他のチームスポーツとくらべても個人技の側面が強いスポーツだと思っている。そんな野球の世界で起こることは、遠くに打球を飛ばせる選手であったり、速い球が投げられる選手など、ある意味わかりやすい選手が活躍するということだ。野村さんも「エースと四番は作れない」と生前おっしゃられていた。自分も野球をやっていた身としてそれは体感しているし、特に少年野球くらいの世界だと、1年の年齢差がかなり影響を与えるスポーツだったと記憶している。

 

 そんな野球の世界は、野村克也さんの登場によって「考える」という概念が持ち込まれ、様々なスタイルの「考える」選手が活躍できるような受け皿の広いスポーツになったように感じる。観戦する側からしても、もちろんホームランや160キロの速球で三振を取ったりという、わかりやすい凄さに熱狂することがベースにあるものの、キャッチャーとバッターとの駆け引き(配球や読みなど)、野手のポジショニングなどの細かい動きを注目することで、新たな楽しみを感じられるスポーツに変わったのではないかと思う。(ちなみに、クイックモーションを広めたのは野村さんだと言われている)

 

 やはり、スポーツであろうが何であろうが、「考える」ことで新たな価値や常識を生み出して、どんどん面白くしていけるということだと思う。なので僕は、これからどんなに辛くなっても、「考えてない」とお客様に思われても、考えなくていいことをグルグルと考えてしまっても、考えることを決して辞めない(誰)。

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芳賀 巧

2016年人材研究所入社。野球ばかりをする人生を送っておりましたが、最終的に大学入学前に寮を脱走し、そこから大いに学生時代を謳歌していました。元々人や組織に対する興味関心が特別強かったわけではなく、様々なご縁から入社をしました。二女の父で、週末は娘と公園でよく遊んで(遊ばれて)います。趣味はこれと言えるものはあまりありませんが、強いて言うなら麻雀が好きです(ただし、めちゃくちゃ弱いです)。お酒を飲むことも好きですが、プリン体が気になる年頃なので、最近はプリン体ゼロのノンアルコールビールを飲むことが多いです。

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