人事必見!採用コンサルティングのメリットとデメリット

 企業の採用成功のために、外部からサポートする役割を持つ採用コンサルティング。

 現在では、様々な企業が採用コンサルティングを検討、活用し、採用成功へ結びつけているケースも数多く見受けられます。

 しかし、「コンサルティング」という役割自体、具体的にどんなことをしてくれるのか、いまいちイメージがつかないという方も多く、実際に採用活動に課題を抱えているにも関わらず、活用を足踏みしてしまっている企業も見られます。

 今回は、採用コンサルティングとは具体的にどんなことをしてくれるのか。また、活用を検討するにあたってのメリットとデメリットは何か、ということについて、ご紹介しようと思います。

1.採用コンサルティングのニーズが高まっている背景

今や、近年の売り手市場や、年々の学生の就職活動量の低下により、「求人を出し、待っていれば採れた」時代ではなくなっています。

もちろんコロナショックによる景気の冷え込みで、現在と同水準の売り手市場ではなくなるかもしれませんが、そもそもの少子化で若年層の労働力人口が減少し続けているマクロ的状況を踏まえると、やはり今後も企業の人材獲得はより難しくなってくるように思います。

つまり、何かしらの工夫をして、採用競合と差別化するための努力しなければ、人材獲得は非常に厳しい時代に入っているのです。実際に多くの会社が採用にしのぎを削っており、それに呼応するように、様々な採用サービスも生まれてきているのが現状です。

また採用部門のリソースも減少しているといった自社内での問題もあり、今後は、「より少ないリソースでいかに採用を成功させるか」といった課題がほぼすべての企業に突き付けられています。

 そんな複雑化・高度化する採用市場の中で、自社内の人員だけで採用成功するのは難しい。と感じている企業が増えており、これが採用コンサルティングのニーズが高まっている背景となっています。

2.採用コンサルティングを活用すべきはこんな企業

 まず初めに、採用課題を抱えており、採用コンサルティングを活用したほうがよい企業はずばり、以下3つのパターンに分かれます。

  1. 忙しすぎてオペレーションを回すことに一杯いっぱいとなり、自社の課題を分析・特定し、解決策を立ててPDCAを回す、といった戦略的な採用を行うまで手が回せない企業
  2. 採用課題は特定・認識しているが、解決する手立てがわからない企業
  3. 採用が上手くいっていないとなんとなく感じているが、そもそもどこに課題があるのかわからない企業

 上記3つのパターンの中で、1.のような手が足らない企業が、実は一番多いかもしれません。時間があれば、あんな分析やこんな調査をしてみたいのに、現実的には厳しい、という企業です。こういった企業は、採用コンサルティング会社により具体的なオーダーをすることが多いです。

2.のような企業もまた存在します。すでに認識している自社課題を解決すべく採用コンサルティング会社などの採用サービス企業が開いている無料セミナーなどに参加するも、そこで聞く解決策は自社の状況に最適化されているかというとそうではないため、自社の状況ではどう解決すべきか悩んでいる企業です。

 そして3.の企業は、実際に採れていない、もしくは採れていても入社後定着しないなど、採用に課題がありそうだが、どこにどう課題があるのかわからず困っている企業です。

3.採用課題によって採用コンサルティングの内容も異なる

 一口に採用コンサルティングといっても、その内容は、企業がどこに困っているのかによって大きく変わります。採用におけるよくある課題を以下5つに分けた場合、それぞれに対応する採用コンサルティングの内容例を挙げておきます。

 

よくある採用課題 採用コンサルティング内容(例)
採用課題がどこにあるのかわからない ・採用課題の分析・抽出(リサーチ)
どんな人材をどう採用すればよいのかわからない ・求める人物像の策定

・採用戦略/戦術の立案

人が集まらない(母集団形成) ・採用チャネルの選定

・(オーディション型の場合)広告原稿作成、キャッチコピー作成

・(スカウト型の場合)スカウトメール作成

選考の精度が低い(選考・見極め) ・評価基準作成(評価シート作成)

・選考フローの構築

・面接官/リクルーターのトレーニング

辞退率が高い(フォロー・動機づけ) ・内定者フォロー施策検討

・入社前研修企画

 

 上記の「人が集まらない」という課題に対する採用コンサルティング内容例にある「オーディション型」、「スカウト型」についてですが、こちらは母集団形成の方法を指しています。 

「オーディション型」は採用広告などを出して候補者のエントリーを待つ方法。一方で、「スカウト型」はこちらから候補者を特定し、スカウト(オファー)を送ってエントリーを促す方法です。

 また、補足ですが、例えば上記のようなスカウトメール作成と併せて、実際のスカウトメール送信まで採用コンサルティング会社が請け負うこともあります。こういった採用実務を請け負うことをRPO(Recruit Process Outsourcing:採用アウトソーシング)と呼びます。

 このように、個社の状況に併せて調査・分析・企画といったコンサルティングから採用実務の請負までセットで活用することができるのです。

4. 採用コンサルティングを使うことのメリット

では、採用コンサルティングを活用することで企業にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。その例として以下が挙げられます。

・マンパワーを補ってくれる

・最適な採用戦略/戦術の提案をしてくれる

・採用担当者の育成、自社のノウハウ蓄積になる

 

4-1.マンパワーを補ってくれる

 上で述べた通り、日常の採用オペレーションが忙しすぎて、手一杯となってしまっている企業が最も多いことを踏まえると、このメリットは非常に大きいと思います。

 またRPO(採用アウトソーシング)で、面接代行やスカウトメール送信など一部の採用オペレーションも外部に依頼することで、自社では、本当に必要なコア業務に集中することができます。コア業務とは、採用戦略の立案など上流工程の他に、最終面接や内定者面談など、候補者の最終ジャッジや内定者の後押しなど、“自社でないとできないこと”を指します。

4-2.最適な採用戦略/戦術の提案をしてくれる

採用コンサルティング会社は、様々な業界・企業の事例を持っています。そのため、業界のベストプラクティスを紹介してくれるだけでなく、採用トレンドにも明るく、最新の市場動向を踏まえた提案をしてくれるでしょう。また、第三者という立場から客観的に自社課題を見てもらえるため、今までは気づくことのなかった自社の課題や強みにフォーカスして戦略/戦術を立ててくれることもメリットの一つでしょう。

4-3.採用担当者の育成、自社のノウハウ蓄積になる

 もし外部のプロと共に採用活動を進めていくのであれば、できる限り、彼らの知見やノウハウを盗むべきです。採用コンサルタントと密にコミュニケーションを取りながら採用を進めることで、プロはどういった目線で考えているのか、最新の市場動向はどうか、などを肌に触れながら自社の中に取り込んでいくことが可能です。

5. 採用コンサルティングを使うことをデメリット

 一方で、採用コンサルティングを使うことのデメリットがあるとすれば、以下のようなものが挙げられると思います。

・何よりお金がかかる

・コンサルタントとのコミュニケーションコストがかかる

 

5-1.何よりお金がかかる

  採用活動に対する自社の力の入れ具合にもよりますが、多くの会社で採用予算は限られています。また採用に関する業務のどこを採用コンサルティング会社に依頼するのかによってもかかるお金は大きく変わります。この点については、一般的に採用の上流工程・コア業務(求める人物像の策定、採用戦略/戦術立案など)になればなるほど費用が大きくなっていきます。

  そのため、限られた採用予算の中で、どの業務を採用コンサルティング会社に依頼するのかは念入りに検討する必要があるでしょう。自社では行う時間がない業務、行うノウハウがない業務を外部へ切り出すのが良いと思います。

加えて、多大な費用をかけたが、コンサルタントとのコミュニケーションがうまくいかず、期待した結果が出なかった、となることは絶対に避けなければなりません。

こちらを防ぐためには、いきなり、全面的なコンサルティングを依頼するのではなく、まずは採用コンサルティング会社に採用業務の一部切り出し(RPO)だけを依頼するのも一つの手です。RPOの中で、他社事例の紹介など、ちょっとしたアドバイスを受けてみて、その採用コンサルティング会社やコンサルタントとの相性を測ってみるのです。

 5-2.コンサルタントとのコミュニケーションコストがかかる

  “とにかく時間がない”、というのは採用コンサルティングを依頼する理由の大きな一つにもなっているのですが、そんな中でも採用コンサルティングを依頼した場合は、定例会や事前の丁寧な認識すり合わせ(コミットすること、役割分担等)など追加でのコミュニケーションコストは発生してしまいます。

 これは、採用コンサルティング会社を使って採用成功するためには、ある意味覚悟をしなければならないことなのですが、「急がば回れ」の通り、必ず密なコミュニケーションが必要となっていきます。またこちらの問題は、コンサルタントと採用担当者が最初のうちにしっかりとコミュニケーションをとり、認識をすり合わせておくことで、次第に「阿吽の呼吸」が成立して、コミュニケーションコストが下がっていくものでもあります。

 これがまさに、これまでは外部の人間であった採用コンサルタントがある意味内部のメンバーへとなっていく過程であり、このフェーズまで信頼関係が築けると、自社にとって非常に大きな強みとなります。

6. コンサルタントと共に採用担当者がコミットすることが最も大事

 最後に、採用コンサルティングを活用する上で、同時に考えなければならないポイントについてご紹介します。

ここまで見てきた通り、採用コンサルティングでは、採用課題について、あくまで原因の究明と最適なソリューションの提案が主な仕事となります。いわば「ブレイン」として採用活動に伴走する形となります。

そのため、決まった解決策に沿って実際に手を動かしていただくのは、誰でもない自社の採用担当者なのです。もちろんどの順番でいつまでに何をするかといったプロジェクトマネジメントをコンサルタントが担う場合も多くありますが、それでも社内での上長への承認や他部署への協力依頼など、社内の人間しかできないことも多くあります。

また、このようにしてコンサルタントと共に採用担当者も採用課題の解決にコミットすることで初めて、上で述べたメリットの1つである「採用担当者の育成、自社のノウハウ蓄積」が実現することができます。

実際に採用コンサルティングを活用する企業の中で、成功か失敗かの命運を分けているのは、“コンサルタントと採用担当者の双方がいかにコミュニケーションをとり、お互いにコミットしたチームになっているか”ということだと思います。

7.まとめ

今回は、ニーズが高まってきている採用コンサルティングを活用する際に考えるべきメリットとデメリットについてお話しました。

限られた社内リソースを補完する意味でも、更に採用力を高めたいという意味でも、採用コンサルティングはうまく活用すれば有益です。

採用コンサルティングを検討している企業はぜひこの点を踏まえて検討してみることをお勧めします。

 

参考資料

・「就職白書2019」就職みらい研究所

 https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2019/04/hakusyo2019_20-23_Part2_up.pdf

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曽和利光

曽和利光

【経歴】 株式会社 人材研究所代表取締役社長。 1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。 株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。 「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。 2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。 企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

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