評価面談でコメントを伝える際に抑えるべき5つのポイント

みなさんも1度は人事評価面談を受けたことがあると思います(新入社員の方はこれからかもしれませんね)。 人事評価面談では、被評価者の評価、報酬、役職などが関わってくる非常に重要な機会です。ですが、評価する方の中には、この評価面談が苦手であったり、メンバーに対して、どんなコメントをしようか準備をしていなかったりなど、きちんと出来ていない方もいらっしゃるようです。

今回は評価面談において、メンバーへコメントを伝える際に、必ず押さえてほしい5つのポイントをご紹介します。普段メンバーを評価する機会、コメントを伝える機会ががある管理職の方や、人事の方は是非ともご参考ください。

1.人事評価面談の2つの目的

人事考課における人事評価面談の目的は2つあります。一つ目は「評価のフィードバックと処遇の変更、理由を正しく伝えること」です。二つ目は「評価結果を通じ被評価者の育成の機会とすること」です。 ここでは、その二つの目的についてご紹介します。

目的1:評価のフィードバックと処遇の変更、理由を正しく伝えること

企業の利益を社員のパフォーマンスに応じて分配する。これは人事評価の基本的な目的一つです。半期や1年などの評価期間の中でどのような成果を上げたのか、どのようなスキルを身につけたのか、所属する組織、チームの中でどのような役割を果たしたのか等、行動や生み出した成果が評価され、その後の報酬や役職などが決定されます。

 この段階で重要なのが被評価者の「納得感」です。被評価者の自己評価と、評価者による評価結果に大きなギャップがあると、処遇に不満を感じてしまう人も出てくるでしょう。その評価結果についてどれほど事実に基づいた話をすることができるかが、納得感を左右するカギとなります。

目的2:評価結果を通じ、被評価者の育成の機会とすること

 評価結果の擦り合わせを行った後は、次に行うのは被評価者の「キャリア志向、方向性の確認」です。 本人がこの先の人生、または会社でやりたいことは何なのか。将来はどういう風になっていたいのか、それに向けてどんなスキルを習得したいのかなどのキャリアの志向性を確認し、それに対して会社がどんな成長機会を提供できるのか、また、どんな人材になることを会社は期待しているのかをできる限りすり合わせていきます。

 それがすり合ったら、「その成長の為に今は何が取り組むべき課題で、何をどのようにすれば成長に繋がるのか」について話し合います。 何にどう取り組めば課題を解決できるのか、成果に繋がるのかを一緒に考えて、場合によっては評価者がその手段、道筋を示すことも必要でしょう。

2.面談実施の際に抑えるべき5つのポイント

 さて、みなさんは面談をする際に何か意識していることはありますでしょうか。 場所はどこでやっていますか? 時間はどのくらい設けておりますか? 事前にコメントの内容や、その根拠はきちんと確認をしておりますか? ここでは、面談をする際に抑えるべき5つのポイントをご紹介します。

ポイント1:根拠となる具体的事実を必ず確認すること

評価と報酬はある意味ブラックボックス化している為、社員から不信感を抱かれることも多いです。 その為、面談にて評価と報酬を伝えるにあたり、管理職の方や人事担当者は細心の注意を払う必要があります。

 重要なのは、「今回の評価がどのような結果になったのか」、そして「その結果、報酬にどのような影響があるか」を対象者にきちんと説明できるように事前に確認をしておくことです。

 評価と報酬が上がったのか下がったのか、上下の幅がどの程度なのかなどを、「その根拠も含めて」きちんと確認し、被評価者が不満を持った際にも、きちんと納得させられるようにしておく必要があります。

 特に、評価の根拠である「具体的事実」は、評価対象者の発揮した能力と成果との関係も含めて、できる限り定量的に押さえましょう。

 「そんなこと当たり前でしょう!」と思われるかもしれませんが、事実の誤認・見落としや思い違いは、人事評価や上司に対する信頼を根底から揺さぶりかねない為、注意が必要です。 また、評価の確認にあたっては、常に評価に対しての心理的なバイアスが発生していないかどうかも自問自答する必要があります。

 

ポイント2:伝えるコメントは事前に検討すること

面談において評価や報酬を伝える際には、メンバーに「どのようなコメントを伝えたいか」も検討するといいでしょう。

賞賛すべきポイント、ダメ出しするポイント、今後期待するポイントを考えておきましょう。 そして、その上で評価や報酬との関係を明示するのです。

 また、コメントには短期的な業務についての要望だけではなく、長期的なキャリアの視点も入れておくといいでしょう。

例)

・「あなたが将来こうなりたいと思うなら、今の仕事でここまでできると良いよ」

・「長期的にこのポジションになると、この程度の報酬を得る事ができる」

などをきちんと伝えるのです。 

 面談では、言うべきことを言うチャンスです。ネガティブなコメントを相手に言うことが苦手な国民性の日本人は、この貴重な機会を逃してはいけません。

しかしながら、言い方や言葉には十分に気を付けましょう。被評価者は、評価者の一言一句に非常に敏感に反応するものです。 ですので、刺激的や曖昧すぎる言葉を不用意に使ったりしないなど、用語の選定にも十分に注意する必要があります。

 

ポイント3:時間と場所をきちんと確保すること

みなさんは面談を行う際には、どのくらいの時間を取り、どんな場所で行っていますか。忙しさを理由に「ちょっとそこで」と忙しさを理由に済ませておりませんでしょうか。面談を行う際の時間と場所の選定も実は非常に重要です。

 被評価者がリラックスして、ゆったりと向き合って話が出来る時間・場所を確保しましょう。 管理職や評価者の皆様は常日頃多忙かもしれませんが、せわしなく最小限の情報だけを伝えるだけでは、せっかくの面談の機会が台無しになってしまいます。

 時間は少なくとも、一人につき30分から1時間程度は確保しましょう。単に評価結果と説明だけであれば15分程で終わるかもしれませんが、キャリアについての話し合いや育成機会を考えれば、もっと時間が必要となります。 また、「最近ちゃんと話していないな」と感じるメンバーや、面談時間が長くなることが予想されるメンバーについては、後ろのスケジュールに余裕を持って実施するのがいいでしょう。 重要な話、深刻な話になったところで時間切れになるなど、中途半端で終わる状況を回避する為です。

 場所は人目が気にならない、音が漏れない会議室などがいいでしょう。

何故なら、面談の内容は評価結果や本人のキャリア志向が中心にはなりますが、場合によっては生活やご家族の話など、プライベートな話題に踏み込むことも出てくるでしょう。そういった場合にも、面談の際にはプライバシーが守れて静かに話せる場所がいいのです。

メンバーにとっても、非常に貴重な機会です。きちんと対応することで「自分を重要な存在として扱ってくれている感覚」が芽生えます。ですので、可能な限り誠実に対応できる空間や時間を用意する必要があるでしょう。

 そもそも、人から評価されるというのは、誰にとっても愉快なことではありません。特に低い評価を受けて、報酬が下がれば、腹を立てたり、不満に感じるものです。評価面談は非常にセンシティブな場面であるということを改めて肝に銘じてください。

ポイント4:直属の上司が面談を実施すること

 評価面談は被評価者に一番近く、その考えや、行動、成果を一番把握出来ている直属の上司が行うのが一般的です。 直近の成果に引っ張られて評価をしてしまったり、上司の好みで評価が分かれてしまったりという評価エラーに注意しましょう。

 直属の上司だからこそできる、メンバーの行動、言動に対しての日頃からの気配りが重要です。

ポイント5:漏れなく、適宜行うこと

評価面談というのは当然ですが、評価のタイミングで行う必要があります。会社によって半年に1回、年1回など、回数は異なりますが、ここでは漏れなく実施する必要があります。

ただ、そういったフォーマルな面談だけでは足りない場合は、日ごろから適宜定期的に途中経過の確認の面談をすることをお勧めします。

 何故なら、日常的にはあまりコミュニケーションを取っていないのに、評価時期になって突然ネガティブフィードバックをして、「あの時のこういうことが良くなかった」と伝えても、「それだったら、もっと早く言ってほしかった。そうすれば改善することもできたのに…」と納得感が下がる可能性があるからです。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は人事評価面談でコメントを伝える際のポイントについてお伝えしました。

考えてみると、どれも当たり前のようなことを言っておりますが、意外と出来ていない方もいらっしゃるようです。

上述しましたが、評価面談というのは本人にとっては非常に重要な機会です。被評価者の納得感や、成長曲線のすり合わせ、その後のキャリアの確認など、前向きに進むこともあります。

しかしながら、評価者側が雑な対応をしてしまうと、一瞬で上司、会社への信頼は崩れてしまいかねません。そのことを是非とも念頭におき、面談を実施していただければと思います。

 

 

 

参考文献

曽和利光 著「人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則」

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曽和利光

曽和利光

【経歴】 株式会社 人材研究所代表取締役社長。 1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。 株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。 「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。 2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。 企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

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