目標設定する際に、抑えておくべき3つのポイント

現在日本では多くの会社で、人事評価の目標設定の際に、目標管理制度に基づいて目標を設定しています。 ただ、この目標管理制度は「どのように目標を設定するか」の基準が明確ではありません。

その為、目標の高さや、期間、設定者などは会社によって様々です。また、目標設定は、「できるだけ高く、限界を決めない」と精神論に走りがちだったりします。

また、「目標を日付と共に決めれば、叶う!」と自己啓発的な考え方をする人も少なくありません。

 このように正しい目標設定の方法についての共通認識もなく、目標管理制度を運用し、半期ごとに目標設定をさせるのも少し雑な気もします。

今回は、人事評価における目標設定について、有名な「目標設定理論」に基づいてポイントをご紹介します。

1.目標設定理論とは

 みなさまは目標設定に関する有名な概念で、目標設定理論というものがあることをご存じでしょうか。

 目標設定理論とは、1960年代から1970年代にかけてアメリカのエドウィン・ロックとゲイリー・レイサムにより提唱された「目標がモチベーションやパフォーマンスにどのような効果をもたらすのか」に着目した理論です。

 この理論は、目標管理制度のバックボーンとなっている研究で、経営学のなかでモチベーション理論の系譜に位置付けられ、心理学に基づく研究が行われています。

 目標達成理論においての「目標」とは、「人が達成しようと試みる行為の対象」と定義されております。 単純に数値目標というわけではなく、広い意味で目標を捉えていることがここからわかります。

2.目標設定のメリット

何故、目標を設定することが重要なのでしょうか。目標設定理論では、目標設定することのメリットとして、照準が合う効果をあげております。

 目標のレベルや段階に応じて、かける力のさじ加減を調整することができる。更には、「ゴール」を明確にすることはモチベーションを維持し、行動の持続力を高めることに繋がるのです。

3.目標設定の3つポイント

ではどのようにして目標を設定すれば成果に繋がりやすいのでしょうか。ここからは3つのポイントに分けてご紹介します。

■ポイント①:明確、且つ困難な目標であること

目標設定理論によれば、「明確、且つ困難な目標」を設定すること言われております。

勿論ですが、そのような目標を設定してもクリアーできない場合はあると思います。

しかしながら、仮に目標を達成することが出来なかったとしても、総じてパフォーマンスは向上し、高い成果を得ることができると、様々なエビデンスから明らかになっております。 この目標の「明確性」と「困難性」がパフォーマンスをあげ、成果を向上させるという仮説は、「これ以上研究する必要がない」と言われるほど、数多くの研究によって、実証されているのです。

■ポイント2:長期間よりも短期間での設定をすること

研究によって、目標の設定期間によって成果に差が出ることも明らかとなっております。

目標設定の期間については、長期間のものよりも、短期間で設定した方がパフォーマンスも成果も上がるのです。

 既に日常的に意識されている方もいらっしゃるかもしれませんが、長期的な目標を設定するものの、それを短期的な目標に分解し、自分の目の前にある課題を一つひとつクリアーしていく。このアプローチ方法は学術研究においても有効性が証明されております。

 これは目の前の課題を細分化することによって、「これだったら達成に向けた行動を取ることができる」という感情が芽生え、意欲も高まり、結果としてパフォーマンスに繋がりやすいのかもしれません。 これを自己効力感と呼びます。

 

*自己効力感:自分がある状況下で、必要な行動をうまく遂行することができると考えること。 アメリカ、スタンフォード大学のアルバート・バンデューラが提唱。

■ポイント3:フィードバックを組み合わせること

 また、目標達成理論によると、ただ目標に明確性や困難性を持たせるのではなく、更にフィードバックを組み合わせると効果が高いと言われております。

 さらには、素早くフィードバックすればするほど、パフォーマンスは向上すると言われております。

 例えばですが、四半期ごとに目標を設定し、結果を素早くフィードバックすることで、成果は上がると考えることができます。

もし、目標管理制度の短期運用が難しければ、1on1ミーティングなどによるフィードバックも有効だと思います。 考えてみれば当然ですが、上司からのフィードバックが素早く回数が多いほど、フィードバックを受けたメンバーの方はその後、期日までに軌道修正する時間が沢山あります。時間が沢山あるからこそ、その分軌道修正ができ、成果に繋がりやすいのも当然かもしれません。

 ただし、こういうと「そんなこと言ったって、そんな時間はないよ!無理無理!」という声が聞こえてきそうです。 その通りで、目標設定とフィードバックには一定の負荷がかかります。

理論的には、毎日目標を立てて、毎日フィードバックすることが望ましいのですが、そんなことは現実的には到底難しいでしょう。

その場合は半年に1回ではなく、週1回や隔週で短めのミーティングを定例で設定しておき、フィードバックするのがいいでしょう。

 フィードバックをするタイミングとして、一番望ましいのは、問題点が顕在化したタイミングでフィードバックをすることです。何故なら、時間が空くとフィードバックの効果が薄れてしまうからです(後になって言われても、覚えていないですよね)。

 この期間については、その会社に合った適切な短い期間を決める必要があります。

4. まとめ

 いかがだったでしょうか。今回は人事評価における目標設定についてのポイントを3つご紹介しました。

冒頭でも申し上げた通り、日本の企業の多くで導入されている目標管理制度は「どのように目標を設定するか」の基準が明確ではなく、目標の高さや、期間、設定者などは会社によって様々なことが多いです。

 人事評価の際に目標設定を形骸化させずに、より一層メンバーのパフォーマンスを上げ、成果に繋げる為にも、今後目標設定をする際には、是非今回の内容をご参考にして頂ければ幸いです。 

参考文献

曽和利光 著「人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則」

 

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曽和利光

曽和利光

【経歴】 株式会社 人材研究所代表取締役社長。 1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。 株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。 「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。 2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。 企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

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